2001年02月21日

もうひとつの風景 by 田中【麹魂 20150221】

pacallet20150221.jpg
ワインセラーの片隅にいる自然派ワインの代表的な造り手フィリップパカレ
文章とは全く関係ありません…


麹米を両手で混ぜている姿、櫂棒(かいぼう)を悠々と上下に動かし樽の中のもろみを混ぜている姿…ほとんどの人が“酒造り”と聞いて思い浮かべるのはこのような絵だろう。

この米や麹や仕込み水を触ることが表の仕事だとすると、それを支える裏の仕事に掃除と洗濯がある。

どの蔵にも大体大きなボイラーがある。朝一番に来た蔵の人はまずその大きなボイラーのスイッチを入れる。そこで沸かされるお湯はお酒の火入れ処理に使われることはもちろんだけれど、道具を洗うことにもかなりの量が使われる。櫂棒を洗う、米を洗ったたらいを洗う、米を広げた布を洗う、酒を搾った袋を洗う。その洗った後ひとつひとつを丁寧に熱湯消毒をしていくのだ。それから、蒸し米を一定温度まで下げるために広げたとき落ちた米粒を掃く、麹米を室(むろ)と呼ばれるあたたかい部屋に入れて作業したあとの床を掃く。掃く掃く掃く…。作業をする前、した後にもれなくついてくる掃除洗濯。「ほとんど掃除屋さんか洗濯屋さんやんかー!」と心で叫んだのは初めて蔵体験をさせてもらった10年前のこと。

それ以来、ボイラーのシュンシュン沸く音と蔵の屋上で洗濯物を干しながら見えた遠くの山の景色が、私が思う酒造りの一場面になった。そして、日本酒の凛とした佇まいの向こうに、あのいちいちしつこいほどに実行される洗う・掃くという作業が清々しい気持ちで思い出されるのだった。

* 櫂棒(かいぼう)…酒母やもろみを撹拌する木製の道具
posted by スタッフ at 16:05| 福岡 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 酒屋こぼれ話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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